久しぶりの日本、そして久留米。 妻の地元に戻ると、不思議と「寄るべき場所」が自然と決まってくる。
その一つが、諏訪野町の住宅街にある このPATISSERIE RAFFINE(パティスリー・ラフィネ)だ。
西鉄久留米駅から少し歩いた場所にあり、知らなければ通り過ぎてしまうような立地だが、ここには“わざわざ来る価値”がある。
職人の「仕事」に涙した記憶
以前訪れた際には「フロマージュ・クリュ」を食べて、思わず涙が出た。 マスカルポーネの軽やかさ。ビスケットとスポンジの絶妙な構造。 そして、上にあしらわれたクリスタルジェルのひと手間。
「どこにいても、ちゃんと仕事をしている人はいる」
そう思わせてくれた一皿だった。
あれから時間が経ち、今回久しぶりに訪れた。 お店の扉を開けて中に入った瞬間、ほんのわずかだが違和感があった。 「ん?」と、足が一瞬止まる。
何かが変わっている。壁の色か。光の入り方か。
進化するショーケースと「見せる」空間
違和感の正体は、ショーケースだった。
以前よりも洗練されていて、ケーキたちが一段と映えて見える。 ただ並んでいるのではなく、「見せる」空間に変わっていた。
こういう変化は、長く続いている店ほど難しい。 変わりすぎてもいけないし、変わらなさすぎてもいけない。 その絶妙なバランスを、この店はしっかり守っている。
「きれいな味」との出会い
今回は、何を食べようか迷った。 この店で一番人気の「ラフィネ」を頼むか。 ただ、前回にはなかった「フランヴァニーユ」が気になった。
このパティシエは、こういう“選ばせ方”がうまい。 王道を押さえながら、さりげなく別の一手を置いてくる。
「フランヴァニーユ」を頼んで正解だった。
- カスタードのコク: 口に運ぶと静かに広がる重厚な旨味。
- バニラの余韻: 後を追うように残る、やわらかな香り。
- 丁寧な仕上げ: 水分を閉じ込める薄いナパージュの輝き。
余計なものがない。『きれいな味』だ。
心に響いた、最後の一言
帰り際、ふとスタッフに目がいった。 一人はおそらく新人。もう一人は以前からいるであろうベテランのスタッフ。
私が何を選ぶか数分考えた挙句に、注文したのはフランヴァニーユを1つだけ。 それでも、その女性は丁寧に、しっかりと目を見て、笑顔でお辞儀をした。
「ありがとうございます」
作られた言葉ではなく、自然に出てくる安心する一言だった。
久留米の次の予定は、まだ決まっていない。 それでも、久留米に来たら、PATISSERIE RAFFINE(パティスリー・ラフィネ)のケーキと、この「ありがとう」を、また味わいに来るだろう。

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