
ラーメンは日本食!?
ラーメンは、日本が生み出した料理のひとつ──
そう聞いたとき、私はなんだか少し誇らしい気持ちになった。
私自身、ラーメンが好きだ。
いや、好きというより、「救われる」と言った方が近いかもしれない。
どこの国にいても、ふと街角に“ラーメン”の看板を見つけると、
なぜか胸の奥がゆるんでしまう。
その店が本格派でも、なんちゃってでもかまわない。
あの湯気の向こうに、遠い日本の風景が見えるような気がするのだ。
旅先でも、異国でも、
「ラーメン」がそこにあるだけで、自分の場所に少し戻れる。
そう感じるのは、私だけだろうか──。
味仙(弥山)がハワイに出店していない理由は、
①高い物流コスト、
ハワイは、とにかく食材の輸入コストがバカ高い。
特に、味仙みたいな“名古屋発の個性派ラーメン”だと、独特な調味料や香辛料を日本から仕入れるしかない。
それを安定して現地で確保するのは、正直かなりハードルが高いとおもう。
それにもうひとつ、大きな壁がある。
それが「人材」。
ラーメン店って、ただ麺を茹でて出せばいいってもんじゃない。
日本式の味・テンポ・気配り、そういう空気ごと伝えられるスタッフが必要ど。
実際、僕のまわりの飲食店オーナーたちもよく言ってます。
**「人材さえいれば、もっとやれるのに」**って。
②現地のラーメン文化との相違、
ハワイにはすでに多数のラーメン店(天下一品、金田家、山頭火など)が進出していますが、
どれも、万人受けする”やさしい味が中心。
味仙のような超個性的で刺激的な台湾ラーメンは、
観光客やローカルの舌に馴染むまでに時間がかかる。
「辛いものが苦手な人が多いアメリカ本土以上に、ハワイでは厳しいのでは?」という声もあります。
③ブランド戦略としての慎重さ
味仙は、派手な全国展開をしているように見えますが、
実際は、各店舗ごとに味や運営方針が異なる「暖簾分け型」。
このスタイルは、「海外で安定した品質管理をするには向かない」という弱点も。
ハワイ進出は「魅力的だが、慎重に選ばないとブランドを壊すリスクがある」ため、見送っている可能性が高いです。
20年以上ハワイに暮らして思う。
本当においしいものは、「そこに行って食べるからこそ価値がある」──。
ハワイに味仙があったら、たしかに私は週に1度は通うだろう。
でもそれは、“名古屋から遠く離れたハワイにある”という奇妙さゆえに、少し味が変わる気がするのだ。
アロハシャツを着た現地スタッフが「イッライシャーイ!」と叫ぶ味仙を、私はちょっとだけ想像してみた。
だけど──たぶん、それは味仙じゃない。
日本のラーメンの名店がハワイに出店したら?
想像してみてください。
ワイキキの夜風が心地よい中、ロイヤルハワイアンセンターの一角に「味仙ハワイ店」の赤い提灯が揺れている──。
そんな光景を見つけたら、きっと多くの日本人観光客が足を止めるでしょう。
異国の地で、あの“台湾ラーメン”が食べられるなんて!と、嬉々として並ぶ姿が目に浮かびます。
けれども、その味がもし辛さ控えめハワイ向けアレンジにされていたとしたら、
それはもう、あの名古屋の味仙ではないのかもしれません。
味仙は、「名古屋で食べるからこそ意味がある」──
そんな“聖地型グルメ”だと、私は思っています。
だからこそ、あえてハワイに出店しないという選択も、
ブランドとしての誇り、哲学の表れではないでしょうか。
…とはいえ、個人的には「一風堂」がハワイにあると嬉しいんですけどね。
あれはあれで、夜中に食べると最高なんですよ(笑)
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