
「地球の自転速度が、原因不明のまま急上昇している」
2022年6月29日には、観測史上最も「短い一日」が記録された。ほんの1.59ミリ秒。鼻で笑うような時間かもしれない。だが、地球という巨大な惑星が、その回転速度を「急に」「理由もわからず」変えたという事実は、我々の足元がいかに不確かであるかを物語っている。
科学者たちは、地球内部のコアの動きだとか、気候変動による極の氷の融解だとか、もっともらしい理屈を並べる。だが、その口ぶりは歯切れが悪い。「多くの科学者は地球内部の何かが関係していると考えているが、この大きな加速を説明できない」と、専門家は白旗をあげているのが現状だ。
そう、**「理由不明」**なのだ。
科学という万能のメスが、地球の気まぐれの前で錆びついている。こんな時、古来の人々ならどう考えただろうか。彼らは空を読み、大地の声に耳を澄ませたはずだ。
そして、なぜか私の思考は、太平洋の真ん中に浮かぶ、あの島々へと向かう。
そう、ハワイだ。
なぜ、ハワイなのか?
「楽園」「癒しの島」。そんな薄っぺらい言葉で塗り固められる前のハワイを、我々は知らなければならない。ハワイ諸島は、地球の奥深くにあるマントルから直接マグマが噴き上がる「ホットスポット」の上に生まれた、剥き出しの「地球そのもの」だ。
SNS映えのために押し寄せる観光客の群れ。聖なる場所に建てられる巨大なリゾートホテル。かつて王族しか入れなかった聖地が、入場料5ドルのハイキングコースになる。人々はダイヤモンドヘッドの頂上でご来光を拝み、ハッシュタグをつけて投稿するが、その足元にあるマナ(霊的な力)の存在に気づく者はほとんどいない。
ハワイの溶岩は女神ペレの身体の一部とされ、島外への持ち出しは固く禁じられている。持ち帰った者には災いが降りかかると言われるのは、単なる迷信ではない。それは「聖なるものを私物化するな」という、自然からの厳しい警告だ。
だが、現代人はどうだ。自然を、文化を、歴史を、すべてを「消費」の対象としか見ていない。ハワイに限った話ではないが、その象徴が、あの島々の今の姿ではないか。
地球の自転が加速している、その「理由不明」の正体。
それは、我々人類の傍若無人な振る舞いに対する、**地球自身の「いらだち」や「不快感」**の現れだとしたら?
「楽園」が踏み荒らされる音
「もうお前たちの時間軸に付き合ってはいられない」 「お前たちが失った畏敬の念を、思い出せ」
加速する自転は、地球からのそんなメッセージなのかもしれない。1日が24時間でなくなる「負のうるう秒」が現実味を帯びる時代。我々は、地球から与えられた時間を、少しずつ剥ぎ取られている最中なのだ。
真実は誰にもわからない。科学が答えを見つけられない以上、私たちは物語や神話にそのヒントを求めるしかない。
ただ一つ言えるのは、この地球の異変を、対岸の火事として眺めている余裕はないということだ。足元の揺らぎを感じた時、その原因は、案外我々の心の中、その傲慢さの中にある。
すべての答えは、理由不明の怪奇現象の先にではなく、太平洋に浮かぶ聖なる島々が、静かに、そして猛々しく示しているのかもしれない。
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