ワイキキのはずれ、クヒオ通り沿いにある「マグロスポット」。
店の広さはせいぜい3〜4坪。中に入れるのは3〜4人が限界だろう。
そのせいか、店の前の歩道にはいつも10人ほどの列ができている。
正直に言えば、こういう光景を見ると、
「また日本人の姑息な商法か」と思ってしまう。
わざと狭い店にして、並ばせて、繁盛しているように見せる。
観光地ではよくある手口だが、通行人からすれば、なかなか迷惑な話だ。
さて、肝心の味と値段。
味は…普通。
変わり種のポケもいくつかあるが、感動するほどではない。
「お、これはうまい」と思わず声が出るタイプではなく、
「ああ、ふつうのポケだね」という、いたって平和な味だ。
値段はもちろんワイキキ価格。
観光地だから仕方ない、と言えばそれまでだが、
どこか海の家のラーメン3000円を思い出す。
味は普通、値段は特別。これもまた観光地の常識だ。
そもそもポケというのは、
キハダマグロのような、寿司ネタには使いにくい種類のマグロを
ローカルが美味しく食べるために考え出した料理だ。
マグロのランクで言えば中の下。
それを調味料や薬味で工夫して、立派な名物にした。
そういう背景を知ると、ポケの本当の魅力は
「高級さ」ではなく「気軽さ」にあるとわかる。
ハワイでローカルに聞けば、
アラモアナのフードランドか、
ダウンタウンのピア25を薦める人が多いだろう。
だが個人的には、
セーフウェイのポケがダントツだ。
味も悪くない。
それでいて値段は、ワイキキの店の半分どころか、
下手をすると一桁違う。
そう考えると、マグロスポットの行列の先にあるのは
「絶品のポケ」ではなく、
「ワイキキという場所そのもの」なのかもしれない。
マグロスポットの前で並んでいる人たちを見ながら、
私は今日も、空いているセーフウェイへ向かう。
財布にも胃袋にも、そっちのほうがずっと優しいからだ。


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